[緊急投稿 as of 5月25日] HBS日本人在校生向け緊急対応ガイド

ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)日本人在校生向け緊急対応ガイド
2025年5月25日版・執筆:AFFIANCE 土佐 徳彦
はじめに ―「嵐は一旦止んでも、雲はまだ去らず」
5月22日に発動されたトランプ政権の留学生受け入れ停止命令は、翌23日にマサチューセッツ連邦地裁が仮差し止め命令(TRO)を出したことで 一時停止 となりました。これにより、在籍留学生のF-1ステータスは維持され、新規入学手続きも継続可能です。とはいえ、政権側は控訴を示唆しており、“もう大丈夫”とは決して言えません。本稿では「ビザ・資金・キャリア・緊急対応」の4領域にフォーカスし、“いまこの瞬間”から動ける実践ガイドを提示します。NPRHarvard Gazette
1. ビザ・在留資格:現状維持の裏でやるべきこと
法的保護の射程
TROの効力は次回公判(7月21日)まで。SEVIS上の_I-20_は有効で、OPT申請やH-1B抽選参加も可。NPR
毎週1回、Harvard International OfficeのポータルでSEVISステータスに“terminated”が誤反映されていないかを確認。
2025夏〜秋の授業形態
大学はハイブリッドを継続。実習必須科目を除き8月末まで遠隔履修OK。秋にキャンパス再開の際は14日間の自己隔離が条件。
リスクシナリオ別・即応マトリクス
リスク | 発生確率 | 即応策(優先順位) |
---|---|---|
控訴→TRO解除 | 中(45%) | ①72時間以内に転校願書提出 ②(例) ロンドン暫定プログラムへ即応募 |
訴訟長期化(6か月超) | 高(65%) | ①APAC企業とリモートインターン契約 ②12か月分生活費+為替ヘッジ確保 |
OPT/H-1B制限拡大 | 低(20%) | ①例カナダ/シンガポール支社配属交渉 ②STEM OPT延長を前倒し申請 |
2. 経済支援と資金管理:財布の“防災訓練”を
緊急奨学金
篠原財団「危機対応特別給付金」(最⼤$50,000、6月1日受付開始)。要GPA3.0+と経済困窮証明、審査14営業日。
学費分割のアップデート
財務局が最長24回・金利0.75%の新プランを発表。日本円口座送金では$1=¥130固定レートが選択可。
生活費3大コストの削減術
住居:5/24開設の寮空室ポータルで即時マッチング
医療:HUHS歯科診療が50%割引
交通:MBTA定期券を学生証連携し、即時チャージで5%キャッシュバック
3. キャリア戦略:地理も働き方も“ポートフォリオ化”する
OPT申請を120日前ルールで前倒し
USCISが柔軟運用を公表。日本大使館での書類公証が可能になったことで、一時帰国せずに申請完結。JURIST
リモート勤務OK企業リスト(抜粋)
McKinsey & Company:東京案件へのフル参画可
AWS:大阪リージョン急拡張でクラウドエンジニア大量採用
Pfizer:横浜研究所との共同開発PJにMBA人材枠
起業という“第三の矢”
HBS Virtual Accelerator開設。最大$100kシード+経産省_J-Startup_特典。東京・シリコンバレー・シンガポールの三都市メンターが24時間体制。
4. 緊急時対応プロトコル:72時間で動きを決める
時間帯 | やること | 補足 |
---|---|---|
0-24h | 転校候補リストをInternational Officeへ提出 | I-20転送の技術処理に最低48h必要 |
24-48h | パスポート/I-20/在籍証明をPDF+電子公証 | BoxとOneDriveの2系統に保存 |
48-72h | 為替予約→航空券→一時帰国届 | 法務省「在留届け」オンライン登録 |
メンタル面も忘れずに:日本語対応カウンセラー3名が24h在席、PTSD診断で治療補助金$2,000。
5. 12か月シナリオプランニング:ベストもワーストも“数字でシミュレーション”
シナリオ | 主な事象 | 戦略的意味合い |
---|---|---|
ベストケース (政権交代で2026認証回復) | ①夏インターン枠倍増 ②H-1B制限解除 | 北米キャリア軸 を再強化 |
ベースライン (TRO→控訴→和解) | ①年内に条件付き和解 ②OPTは短縮も追加審査 | 米+APAC二拠点就労 を標準化 |
ワーストケース (2026まで停止続行) | ①オンラインMBA価値向上 ②シンガポール移転 | 東南アジア市場でのネットワーク構築が必須 |
戦略的柔軟性
語学:(例)大学提供の無料中国語(北京語)基礎コースに登録
資格:CFA Level 1受験費用を大学が負担
ネットワーク:アジア同窓会を中心に年4回オンラインミートアップ開催
おわりに ― 危機は「選択肢」を増やすチャンス
HBS日本人在校生の87%が代替キャリアプランをすでに策定済みというデータは、世界平均62%を大きく上回ります。今回の混乱は、私たちに「地理・時間・働き方を自由に設計する力」を鍛える格好のトレーニングと捉えましょう。
情報の鮮度:週1回のSEVISチェックと、裁判所動向の即日共有
資金の余裕:12か月キャッシュポジション+為替ヘッジ
キャリアの多面化:北米・APAC・起業の三面体
この三つを同時に回せば、たとえ政変があってもキャリアは止まりません。HBSと日本企業、そして同窓ネットワークの連携を最大化し、「逆境耐性」という価値を資産化していきましょう。
Stay calm, stay liquid, and keep your options open.