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仕事を辞めずに海外MBAは可能か?Queen’s Smithのオンライン課程で考える時差と学びの条件

早朝の東京の部屋で、白いシャツの会社員が窓辺の机からオンライン授業に参加している後ろ姿。窓の外に夜明けの東京の街並み。

情報確認日:2026年10月15日(日本時間)

「海外MBAには関心がある。でも、今の仕事も、日本での生活も手放したくない」

その選択肢を広げるのが、働きながら学ぶオンラインMBAです。ただ、「オンラインだから好きな時間に学べる」と考えて学校を選ぶと、入学後の生活が想定と大きく違うかもしれません。

カナダのQueen’s UniversityにあるSmith School of Businessは、2026年10月13日、新しいGlobal Online MBAの第1期生を迎えたと発表しました。世界各地から出願できる課程ですが、日本から学ぶ場合は、授業の時差、費用、卒業後に求める機会を分けて見る必要があります。

このニュースを、海外のオンラインMBAを候補に加えるときの判断材料として読み解きます。

新しいのは「構想」から「実際の開講」へ進んだこと

大学の発表によると、第1期生は66名で、女性比率は40%です。受講者は仕事を続けながら24か月または36か月の課程で学び、トロントでの4日間の対面セッションを経て、オンラインでの学習に移りました。

課程そのものは以前から案内されていました。今回の発表で新たに確認できたのは、最初の学生集団が実際に学び始めたことと、その規模・構成です。まだ卒業生の就職成果を評価できる段階ではありません。(出典:Smith公式発表、2026年10月13日)

押さえたいのは学び方です。学校は、同じ入学期の学生が一緒に進むコホート型を採り、授業の70%を同期のライブ形式で行うと説明しています。録画教材を一人で順に進める形とは、時間の使い方が異なります。(出典:公式プログラム案内)

カナダの「夜間授業」は、日本の勤務時間に重なる

公式案内にあるライブ授業は、米国・カナダ東部時間(ET)の毎週火曜18時30分〜21時と、隔週日曜14時〜16時30分です。日本時間に換算すると、次のようになります。

  • カナダの夏時間中:毎週水曜7時30分〜10時、隔週月曜3時〜5時30分
  • カナダの標準時間中:毎週水曜8時30分〜11時、隔週月曜4時〜6時30分

これは掲載時刻を日本時間へ換算したもので、将来の個別の時間割を保証するものではありません。大学は、授業、チーム活動、課題、自習を合わせて、平均で週10〜15時間の取り組みを想定しています。(出典:公式プログラム案内)

日本の会社員にとっては、水曜午前の勤務を調整できるか、月曜早朝に学んだ後で仕事を続けられるかが、具体的な検討事項になります。海外へ転居する必要はなくても、学習のために生活を組み直す必要がなくなるわけではありません。

チーム課題の打ち合わせ時刻も、授業時間だけでは判断できません。欠席時の扱い、録画視聴で代替できる範囲、チーム編成での時差への配慮は、出願前に確認したい点です。

費用と「海外で働く道」は別に確認する

入試案内は、世界中から出願を受け付けると明記する一方、この課程の修了者はカナダの卒業後就労許可(PGWP)の対象にならないとしています。オンラインで学位を取ることと、カナダで卒業後に働くための資格を得ることは、同じではありません。(出典:公式入試案内)

出願要件として、同じ入試案内は、通常4年制の学士号、多くの場合2年以上の職務経験、GMATまたはGREのスコア(一定の資格による免除あり)、英語力の証明(TOEFL iBT 100点かつスピーキング・ライティング各24点以上、またはIELTS Academic 7.0)を挙げています。英語で教育を受けた経歴があれば、英語試験は免除されます。

費用も「オンラインだから安い」とは限りません。費用ページに掲載されているInternational区分のプログラム費用の総額は、24か月型で93,496カナダドル、36か月型で93,546カナダドルです。どちらも2026年9月1日を初回の支払日とする現行の掲載額で、今後の入学期に同じ額が適用されるとは限りません。

教材のほか、トロントでの対面開始セッションの宿泊と一部の食事は費用に含まれますが、渡航費は自己負担です。対面セッションに参加しなかった場合は、その費用相当分が返金されると記載されています。参加の条件や代わりの方法は、募集担当者への確認が必要です。(出典:公式費用案内)

退職しないことで収入を維持できる可能性と、支払う学費・渡航費・使う時間は、分けて計算します。そのうえで、何を得るための投資なのかを考えます。学校ごとの費用と期間の比べ方は、海外MBAの費用・奨学金・期間をどう比べる?でも整理しています。

今の仕事を「学びを試す場所」にできるか

ここからは、学校の発表を踏まえた考察です。

このような課程は、今の職場で担当範囲を広げたい人や、学んだ経営知識を実際の課題に当てはめたい人にとって、検討する意味があります。一方、海外に生活の拠点を移し、就労資格も含めて海外でのキャリアを設計したい人は、全日制の課程との比較が欠かせません。働き方別の課程の違いは、Part-time、Full-time MBA、EMBAの違いも参考になります。

出発点は「オンラインと通学のどちらが上か」ではありません。今できることと、将来担いたい役割との差を言葉にすることです。たとえば、専門職としての経験を、部門をまたいだ事業判断へ広げたい。そのとき足りないのは財務の知識か、異なる専門家と協働した経験か、英語で意思決定を進める力か。ここが曖昧なままでは、課程の便利さだけが選ぶ理由になってしまいます。

その差を埋めた自分が、どの会社や事業を通じて、誰にどんな価値を届けたいのか。勤務を続ける選択は、その問いを現場で確かめながら学べるか、という観点でも評価できます。

次の行動は、説明会の前に三つの条件を書くこと

大学は説明会のページを設けています。日程は随時更新されるため、参加を検討する場合は公式の説明会案内で最新の開催日と対象の入学期を確かめてください。開催時刻は米国・カナダ東部時間で表示されているため、日本時間への換算も忘れずに行います。

参加するなら、先に三つだけ書き出してみてください。

  1. MBAを通じて担えるようになりたい役割と、現在の自分との差
  2. 水曜午前・月曜早朝を含む学習時間を、仕事と生活の中で確保する方法
  3. 学費と追加費用の上限、そして修了後に働きたい場所

説明会では、その条件に合うかを確かめます。とくに次の入学期の費用、時間割、対面セッションへの参加条件は、2026年の案内をそのまま当てはめずに確認してください。

選択肢が増えることには価値があります。その価値を自分のものにするには、「参加できるか」と「目指す変化につながるか」の両方を見る必要があります。

出典

いずれも2026年10月15日(日本時間)に確認しました。日本時間は、トロントの夏時間・標準時間を区別して編集部が換算しています。

著者プロフィール

土佐徳彦(Naruhiko Tosa)

AFFIANCE Learning Studio創業者・代表。2003年の創業以来、海外MBA・海外大学院の受験指導に携わり、Harvard、Stanford、Wharton、MIT Sloan、INSEAD、LBSなど世界のトップMBAへ、700名強を合格に導いてきた。GMAT対策、英語読解、論理思考を専門とし、受験からキャリア設計までを支えている。

指導の傍らでCaetus Technology株式会社を共同創業。同社の製品は2020年度・2021年度と2年連続でグッドデザイン賞を受賞し、高機能ハンドクリーム「Hands Å P.P.」はJAXAの生活用品アイデア募集で選定され、2025年に大西卓哉宇宙飛行士の長期滞在ミッションで国際宇宙ステーションに搭載された。

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